陽彩

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その後、大学内を爆走する車椅子は、一時SNSで話題になった。 顔バレした律希と共に、お説教を食らう。 「…納得いかない」 悪いのは私か? 病み上がりなのに、って怒られた。 腫れ物に触るように遠巻きにしてたくせに。 「…笑うな」 むくれる私を見てヘラヘラしてる律希。 「好き」 「はぁ?!」 「ふふふ」 「………」 本当に別人かもしれない。 1度心臓が止まって、生まれ変わったとか。 いや、生まれ変わりとか信じてないけど。 何と言うか、相変わらずヘラヘラしてるけど、愛情表現にダイレクトさが加わった。 「ひーちゃん」 「……」 「ひーちゃんってば」 「………」 溜息と共に、傍に寄る。 ぎゅっと抱きつかれた。 「行ってよし!」 いてっ! やっぱり律希だ。 この身勝手さ。 思わず手が出たのは許せ。 叩かれてもヘラヘラしてる。 悔しいけど、愛しい笑顔。 一矢報いたくて、抱き締め返した拍子に、頬へキスしてやる。 「ひーちゃん?!」 目を丸くした後の満面の笑顔は、2度と失くさないと心に誓った。
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