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晶の浮気者! by光
俺は光。
互いにウケだった晶と交際を初めて、もうすぐ2年が経とうとしている。
1年目は婚約指輪も交換し合い、なかなかラブラブな日々を過ごしたと思う。
...相変わらず、晶はすぐに真顔になってキレたり、いきなりバチバチ体を叩いたりもするけど、もう慣れた。
というか、晶が必死になるその姿が可愛く愛おしい。
晶にバチバチ叩かれても、痛みよりも喜びを感じる。
...俺、て変?
でも、好きな相手が俺の為に怒って、その痛みなんだから。
...痛みすら愛おしい。
晶には死んでも言えないけど。
「....は?マゾなの、光」
て、呆れるどころか、あの表情のない醒めた声で言われるのがオチ。
そんな晶は...最近、浮気を始めた...。
俺も晶も身長170に足りない、小柄で痩せ型。
悲しいかな、晶が好きな相手は180という高身長に長い手足、しかも、イケメン。
俺はタイプじゃないけど。
さて、いざ、夕飯だ。
晶は、
「美味しい物ならなんでもいい」
と言うので、手によりをかけ、鯖の竜田揚げとわかめと胡瓜、たこの酢の物、じゃがいもの味噌汁をテーブルに並べ、
「さ、出来たよ、食べよ!」
笑顔で促したが、
「...魚より肉が良かった」
ポツリ、テーブルに並ぶ料理を見下ろしたまま、晶が呟いた。
「だったら肉が食べたい、て言えば良かったのに」
箸を持ち、食べ進めると、少し遅れて、晶も箸を手にした。
「光ならわかると思ったんだもん」
「...エスパーじゃないよ?俺」
ず、と味噌汁の茶碗を持ち、啜りながら、への字口で、いただきます、と口にする晶を見つめた。
「あ。美味しいかも」
さく、と小気味よい音を立て、晶は竜田揚げに齧り付くなり、そう笑みを浮かべ、俺は拍子を抜いた。
「...肉じゃなくってごめんね?」
「ううん。美味しいから許す」
不意にテレビのリモコンを手にした。
見たいバラエティがあったからだ。
が、
「ちょっと!光!もうすぐ、奏様が出演されるんだから!チャンネル変えないで!」
「...奏様、て...」
奏、とは。
今、晶が浮気している男。
STAR☆FIVE、とかいう5人組みアイドルの1人で、ソロでも活躍しており、俳優もやっていたりする。
「光の見たい番組はどうせ録画でしょ?俺の奏様は生だから、同じ空間を生きてる!て痛感できるの、光は録画したら?」
俺の手からリモコンを奪い、晶はさっさとチャンネルを変え、奏とかいう奴がテレビに映るなり、キャー、と女みたいな奇声を上げる。
かと思えば、テレビをガン見したまま、俺の作った夕飯をもぐもぐ。
....いけ好かない。
俺はテレビに釘付けの晶に頬を膨らませた。
勿論、奏に有頂天な晶が気づく余地はない。
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