店長の元彼にのぼせてる... by光

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店長の元彼にのぼせてる... by光

帰宅したら晶は案の定、瞳をハートにして奏が出演したドラマを観ていた。 「...ただいま」 「おかえり、光」 テレビ、ガン見したままかよ...。 「....シャワー浴びてこよっと」 浴室に向かいながら...さっきの店長とのやり取りを思い出していた。 浴室から出た俺は缶ビールを持って晶の隣に座り、奏とやらの出演してるドラマを見つめる。 ....店長の元彼かあ。 てか、晶、知らず知らずのうちに店長の元彼、しかも、店長が振ったようなもんな男にのぼせてるんだよなあ...。 「...てかさ、奏、て歳いくつ?」 「んー?23」 「...23?」 思わず小首を傾げた。 「...サバ読んでない?」 「....は?」 晶の鋭い眼差しが向けられた。 「...奏様が老けてるとでも言いたいの!?ほら、wiki!ちゃんと23でしょ!」 スマホを突きつけられた。 ...確かにwikiでは23にはなってはいる。 が、サバを読んでるとしたらあんまり意味はないような...。 「でも、やっぱ芸能人だしさ、多少の整形とかはあるかもじゃん?」 「....ぶん殴られたいの?」 完全にキレた様子の晶の凍てついた瞳に慌てて首をブンブン横に振る。 「...でもなあ、それだと店長の話し合わない気するしなあ...」 無意識について出た一言に、晶が、え、と声を出し、まずい、と慌てて口を噤んだが、既に遅かった。 「え?なに。どういうこと!?」 「や、あ、なんかさ。その、奏、てやつ、大学の後輩なんだって。店長の....」 元彼らしいよ、までは言ってないから、セーフ、ですよね...?店長...。 「うっそ!ホント!?やっばーい!じゃ、なに、類さんって奏様とお会いした事がある、てこと!?」 両手を胸の前で組み、これまた瞳の中にはハートマーク...。 「さ、さあ、そこまでは知らないけど...」 「じゃあ!応募券でサイン会かつ握手会の確率、かなり低いけどさ!類さんに頼んだら会えるかもだよね!?」 「....え?店長に...?」 「うん!」 ....さすがに元彼の連絡先なんて店長、消してそうだけど、案外、ツテはあるかも。 だけど、振ったというか、逃げた、て言ってたし。 普通なら会いたがらないだろうし、連絡をしたくもないだろうな...。 翌日、俺も晶も出勤だったが、晶は辿々しくも、 「類さん、奏様の大学の先輩なんですよね...?僕、めちゃくちゃ大ファンなんです...!」 店長はポカンとなってはいたが...。 「...んー、まあ、アイツに店の貢献してもらう、てのもありか。稼いでるだろうし。ついでにインスタにでも上げてくれたら客足も増えそうかもな...」 ぼんやり宙を仰ぎながら顎に指を添え、店長が洩らした独り言。 「うわあ!類さん、奏様をアイツ呼ばわり!仲良かったんですか!?奏様と!」 うわ、勤務先でまでピンク色の声出して、晶...。 仲良かったもなにも、元彼だしな...。 「う、うん?ま、まあね」 店長は困惑気味に答えながら晶には気づかれないよう、俺をさりげなく軽く睨みつけた...。 す、すみません、店長....。
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