第二話 猫と私

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息を切らして、やっと交番にたどり着いた。 交番には二人の警官が立っていた。 私と妹は会釈をして、交番へ入った。 警官は不思議そうな顔でこちらを見て 話しかけてきた。 「そんなに慌てて、どうかされましたか?」 「あの…。実は昨日これを拾ったんです。  今TV見て、慌てて来たんですけど…  これって…廉太郎のじゃないかな?  私、驚いて…その…とにかく調べて  もらえませんか?」 私は持っていた物を警官に渡した。 妹は、それを見てただただ驚いていた。 警官は、私が持って来た物を確認して 驚いた。 「君、これ…血がついてるね…。 この血はなんでついているんだい?」 「あっ、あの、それはたぶん猫の血です。  私、昨日公園で怪我をしている猫を  みつけて、助けたんです。  その時に、猫の下にこの服が落ちていて  猫がぐったりしてたから、慌てていて、  そこに合った物を全部持って、病院に  連れて行ったんです。  その時は、慌てていたからリュックの  中身とか確認してなくて、  家に帰ってから確認したんです。  そしたら、リュックの中に財布とか  スマホとかいろいろ入ってて…。」 警官に昨日の出来事を説明していると、 突然そのスマホが鳴り出した。 警官はそのスマホを確認して、電話に出た。 「もしもし、こちら○○交番です。  どちら様でしょうか?」 「えっ!交番ですか?  これ、廉太郎の携帯ですよね?  廉太郎は警察に居るんですか?」 「あなたはどなたでしょうか?」 「あっ、私は廉太郎のマネージャーの森瀬(もりせ)です。  廉太郎が行方不明になっているのは  ご存知でしょうか?  そちらに居るなら、迎えに行きます。 場所はどちらですか?」 「残念ですが、こちらにはご本人は居ない  んですよ。あるのは廉太郎さんの物と  思われる、携帯と財布、服や靴などです。  たった今、若いお姉さん達が届けて下さった  ばかりなんですよ。」 「えっ?そうなんですか?  とりあえず、そこに向かいます。  場所を教えて頂けますか?」 警官はその電話の主に交番の場所と連絡先を 伝えていた。 私は、警官にいろいろと質問をされた。 「えっと、じゃあお嬢さんには  いくつか書類を書いてもらうね。  落とし物を拾った場所とか  詳しく書いてもらえますか?」 「あっ、はい。  分かりました。」 私は書類に自分の情報と、拾った場所 など、詳しく書いた。 警官は私が持って来た物を一つ一つ 確認していた。 そして、ある疑問を抱いていた。 「彼は、どうして服を置いて行ったのかな?  靴下や下着まであるな…。  今、彼は服を着ていないのだろうか?  何者かに服を脱がされて、連れ去られた  のか…。これは事件の匂いがしますね…。」 「えっ?事件ですか?  嫌…そんなの…絶対嫌…。 廉太郎…。何処に行っちゃったの…。」 私は悲しくなって、気づいたら泣いていた。 「あっ、お嬢さん。大丈夫?  泣かないで。もしかしてファンの子かな?  心配だよね…。  おじさんの娘もね、この彼のファンなんだ。  だから、今頃ショックを受けてるだろうな。  でも、君のおかげで手掛かりが掴めるかも  しれないよ。この服が彼のものなら  何か犯人の証拠がでるかもしれない。  血も気になるから、調べてみるよ。  大丈夫!きっと、彼も見つかるよ!」 警官のおじさんは優しく、私の頭を撫でて くれた。        
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