第二話 猫と私

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しばらくすると、一台の車が交番の前に止まった。そして、その車の中から男性が二人 出て来た。 一人はスーツを着た眼鏡の男性ともう一人は オシャレなサングラスと帽子を被った、 ラフな格好の男性だった。 私と妹はそのラフな格好の男性を見て、 動揺をしていた。 「えっ?お姉ちゃん!あの人…。」 「うん…。そうだよね…?」 「新汰だ!!」 私達は興奮して、二人で叫んだ。 その男性達が交番の中に入って来た。 「こんにちは。先程お電話した者ですが。」 「あっ、はい。お待ちしておりました。  こちらへどうぞ。 お掛け下さい。」 私と妹は緊張しながら、その二人をじっと 見つめていた。 特に、妹の目はハートになっていた。 妹は小声で言った。 「ねぇ、お姉ちゃん!  これって夢かな?  こんなに近くで見るの初めて…。  ヤバいんだけど…。」 「だよね…。本当にびっくり…。 やっぱり、廉太郎の事が心配で来たの  かな?」 「そうだよ…。絶対心配だよね…。 あっ、私達部屋着じゃん! スウェット姿とかありえないね…。  それも、スッピンだし…。  こんな事なら、オシャレして来るんだった… ショック…。」 私達がヒソヒソ話していると、 警官のおじさんが声をかけてきた。 「お嬢さん達、こっちに来てくれますか?」 「あっ、はい…。」 私達は恥ずかしくなっていた。 「こちらの方がこれを拾って、届けてくれ  お嬢さん達です。」 彼等は私と妹の方を見た。 そして、笑顔で話しかけて来た。 「そうだったんですね。  廉太郎の私物を見つけて下さって、  ありがとうございます。  とても、助かりました。」 「あっ、いえ…その…たまたまなんです…。  通りすがりにたまたま見つけて…。」 私と妹はモジモジしながら、手を繋いで その二人を見つめていた。 すると、サングラスをかけた男性が声を かけてきた。 「本当にありがとうね。  君たちのおかげで、蓮の手掛かりが  少し、掴めたよ。  あっ、俺BLACK CATのリーダーの  新汰って言います。  知ってるかな?」 妹は泣きそうになっていた。 「もちろん。知ってます。  私達、姉妹はBLACK CATの大ファンです。  いつも、TV見てます。  あの…私の妹は、新汰くんのファンなんです。  だから、すごく今緊張してて…  あっ…こんな時に、すみません…。」 「そうなんだ!  ありがとうね。  えっと、名前は?」 「あっ、あの…妹は愛花です。」 妹は固まっていて、こちらを見ようとしない。 恥ずかし過ぎて、困惑しているようだった。 すると、新汰が妹に近づいて行った。 「えっと、愛花ちゃん?大丈夫?」 妹は名前を呼ばれて、嬉しかったのか涙を 流していた。 新汰はちょっと、焦っていた。 「あっ、ごめんね…。泣かないで。  あっ、これで涙拭いて。」 新汰は自分のハンカチを妹に渡していた。 妹は泣きながら喜んでいた。 「あの…ずっと…デビューする前から  大ファンなんです…。  悲しくて泣いてる訳じゃなくて… 嬉しくて…。 これは…夢ですか?」 妹は泣きながら、新汰に話していた。 「そうなんだ。本当にありがとうね。  すごく、嬉しいよ。  これは、夢じゃないよ。  あっ、そうだ。お礼しないとね!  マネージャー!車にあれ取りに行っても  いい?」 「あぁ、いいよ。  鍵開いてるはずだから。」 「ちょっと待ってて!」 新汰は笑顔で、車に何かを取りに行った。 そして、すぐに大きな袋を持って帰って 来た。 「俺達のファンって聞いたから、  これ、君達にプレゼントだよ!」 「えっ?これは?」 「開けてみて!」 私と妹は顔を見合わせて、袋を開けてみた。 すると、中には四人のぬいぐるみとタオル とTシャツが入っていた。 それも、Tシャツはサイン入りだった。 「わぁ〜!こんなに沢山!  いいんですか?本当に?」 「うん。勿論いいよ!  蓮の私物見つけてくれたお礼だよ。  本当にありがとうね!」 「わぁ〜い!嬉しいです。  こちらこそありがとうございます。  絶対大切にします。」      
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