第二話 猫と私

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「勿論、いいですよ。  何か、手掛かりになるなら協力します!  だって、私も心配なんです。  服も着てないかもしれないんですよ… 一刻も早く見つけないと…  最悪な事になる前に…早く見つけたい… 廉太郎くんが居ない世界なんて、私は  耐えられないです…。  私の大切な推しなんです…。 皆んなで、廉太郎くんを助けましょう!」 私達は一致団結をして、交番を出て 昨日の病院へ、猫を迎えに行く事になった。 病院へは、マネージャーさんの車で 向かった。 私は道案内をするために、助手席に座らせて もらった。 妹は後ろの席で、大好きな推しの隣に座って、緊張していた。 こんな奇跡みたいな事ってあるんだと 私は思った。 「あっ、次の信号を左折して下さい。  曲がったら左手にコンビニが見えるので、  その隣が病院です。」 「あっ、あれね!  分かった。案内ありがとうね。」 「あっ、はい。  こちらこそ、乗せて頂いて助かりました。  ありがとうございます。」 車を病院の駐車場に停めて、私達は病院の 中に入っていた。 すると、昨日の先生が慌てた様子で ウロウロとしていた。 私は、先生に声をかけた。 「先生!猫を迎えに来ました!」 先生は私に気づいて、慌てて駆け寄ってきた。 「迫田さん!さっき携帯に連絡したんだよ!  たっ、大変なんだ!猫が… すまない…私の不注意だ…」 「えっ?携帯?あっ!  すみません…マナーモードにしてて  気がつきませんでした…。 そんなに慌てて、どうかしたんですか?」 「そっ、それが…。 怪我の具合を見ようとケージから出して、  ベッドに寝かせてたんだ。  それで、新しい包帯を取ろうと一瞬目を  離した隙に、猫が立ち上がって、  逃げてしまったんだよ…。  窓も開いていて…外に出て行ってしまった  んだ…。」 「えっ!そっ、そんな…。」 「本当に申し訳ない…。  なんて、お詫びをしたらいいのか… 私は…本当に申し訳ありません…。」 「それっていつですか?」 「10分ぐらい前です…。  近くは探して見たんです…。 でも、猫は足が速いから…。」 「でも、まだ近くに居るかも…。 私、探して来ます。」 私達は二手に分かれて、その辺を探し  回った。 猫が入りそうな、茂みを見て回った。 私と妹は昨日の公園へ行ってみる事にした。 すると新汰とマネージャーさんも 公園の方へ走っていた。 「あっ、居た!  あの猫だ!」 私が指さす方を皆んなが見た。 そこには大きな木があって、枝が折れ その場に倒れていた。 足に包帯を巻いた黒猫は、その木の周りをぐるぐる回っていた。 そして、私達の方を見て急に走って来た。 黒猫は新汰目掛けて、ジャンプして来たのだ。 何故か黒猫は、新汰に懐いていた。 新汰の周りをぐるぐる回って、尻尾を擦りつけ ていた。 新汰は笑顔でその猫を抱き抱えた。 「何、こいつ人懐っこいな。  可愛いんだけど! あっ!本当にペンダント着けてる!  これ、やっぱり廉のだ!」 「えっ、本当ですか?  じゃあ、やっぱりこの子と廉太郎くんは  出会ってるって事ですよね?」 「多分ね…。それにしても廉はどこに  行ったんだろう…。 変な事件に巻き込まれたのかな…。」 黒猫は無事に見つかった。 私達は猫を連れて、さっきの病院へ戻った。 先生は、病院の前でウロウロとしていた。 私達に気づいて、ホッとした顔を見せた。 「猫見つかったんだね…。 良かったよ…。 本当に、本当に申し訳ありません  でした…。」 先生は、私達に何度も何度も誤った。 「もう、大丈夫ですよ。  見つかったんだし、もう気にしないで  下さい。」 「君は、優しいな…。  ありがとうございます。  お詫びにこれプレゼントします。」 先生は猫のケージと餌を用意してくれた。          
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