第二話 猫と私

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「えっ?こんな立派な物いいんですか?」 「勿論、いいんです。  私の不注意で、ご迷惑をかけたお詫びです。  貰って下さい。」 「わー!すごい嬉しいです。  じゃあ、ありがたく頂きますね。」 私は猫をケージの中に入れた。 でも、黒猫はケージの中で暴れていた。 ケージの中が気に入らない様子だった。 「困ったなぁ…。」 猫は、私には懐いてくれなかった。 抱っこしようとした時に、爪でひっかかれて しまった。 「わぁ…。痛い…。」 「あっ、お姉ちゃん!血が出てる…。」 病院の先生は、それを見てすぐに手当を してくれた。 猫は新汰にだけは懐いていた。 新汰が抱っこすると落ち着いて、ケージでも 静かにしていた。 「新汰くんには懐いてますね…。 この子は、新汰くんと一緒に居たいの  かもしれないね…。」 「えっ?それは嬉しいんだけど… うち、猫いるからな…。 勝手に増やせないし…。 喧嘩するかもしれないしな…。」 「そうですよね…。 とりあえず、今日はうちに連れて  帰りますね。」 帰りは家まで、マネージャーさんの車で 送ってもらった。 「今日は、本当にありがとうございました。  猫は、責任をもって私が飼います。」 「うん。あっ、俺のメールアドレス  教えるね。  何か分かったら連絡するから。」 「えっ?私…ただのファンですよ…。  連絡先なんて…教えて頂けるなんて… 本当にいいんですか?」 新汰は笑顔で言った。 「大丈夫だよ。  だって、君のおかげでいろいろ  手掛かりが見つけられたんだよ!  こっちは感謝しかしてないよ。 ありがとうね。  これからも、情報交換しよう。」 「あっ、はい…。  ありがとうございます!」 私と妹は新汰の優しさに惚れ惚れしていた。 芸能人と知り合いになるなんて、夢のまた夢だと思っていた。 それも、妹にとっては最推しだ。 そんな最推しと知り合いになったなんて、 これはまさに奇跡だ。 私達姉妹は、本当に本当に幸せ者だった。  
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