第三話 猫の正体

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第三話 猫の正体

『おい?おーい!  大丈夫か?  生きてるか?』 私は、恐る恐る猫のケージに近づいた。 今、起きている状況が分からずに、 私は、ただ戸惑うばかりだった。 『なぁ、頼むからここから  出してくれないか?  狭くて、息苦しいんだよ…。』 「えっ…。 ほ、本当に… あなたが喋ってるの?  ね、ね、猫って喋るの?」 『普通は喋らないだろうな…。  でも、お前には聞こえるんだろ?』 「う、うん…。  わぁ…嘘みたい…。 何で?  信じられない…。」 私は、驚きながらもちょっとだけワクワクも していた。 動物と話が出来るなんて、普通では 考えられない事だ。 なのに、目の前の動物は言葉を話している。 本当に、不思議で仕方がなかった。 私は、恐る恐るケージの鍵を開けてあげた。 すると、その猫は静かに立ち上がって ケージからゆっくりと出て来た。 『あー。やっと出れた。  ありがとうな!  体が痛くて、しょうがなかったんだ。』 猫は伸びをして、その場に寝そべっていた。 「あ、あの…猫さん…。 あなたはどうして、話が出来るの?  どうして、さっきは暴れてたの?」 『俺は、猫じゃない。』 「えっ?何言ってるの?  どう見ても、猫でしょ?」 『今はな…。 でも、俺は猫じゃない! 人間だ!』 「えっ?  に、人間?  何、言ってるの?」 私は、この猫の言っている意味がわからなかった。どう見ても猫なのに、人間だと言っている。不思議な猫だった。      
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