私の推しは気まぐれ猫でした。

第一話 推しと猫

「あー！喉が渇いた。」

妹が部屋から飛び出して来た。
私はテレビに夢中で、気にしていなかった。

「ゲッ！お母さん！
お姉ちゃんが泣いてるんだけど…。
でも、この曲いいね…。
　新汰かっこいい！」

「うん…。
本当に泣いてるね…。
本当に好きなのね…。
でも、分かるわその気持ち。
お母さんは、凛音(りんね)くんが好き。
　目がクリッとしてて、可愛いのよね。」

オタクは、母譲りだった。
母も妹も、BLACK CATの大ファンなのだ。
BLACK CATのメンバーは、新汰(あらた)、廉太郎(れんたろう)、凛音(りんね)、朔(さく)の四人だ。
年齢は全員二十歳で、四人は幼馴染だった。
だからメンバー同士、とても仲良しで、
プライベートでも、いつも一緒に居るみたい
だった。
いつもファンの為に、プライベートの動画を
SNSで上げてくれる。
それを見るのも、私の楽しみだった。
仲良し過ぎて、四人はシェアハウスで
一緒に住んでいるそうだ。
その、シェアハウスでは猫を飼っている。
四人とも、猫が大好きだから、グループ名が
BLACK CATになったのだ。