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私は腕時計を気にしながら、最寄り駅へと
急いだ。
(これなら、あの電車に間に合うかも。)
改札を抜けて、ホームへの階段を駆け下りる。
「はぁ、はぁ、間に合った…。」
私が通う高校は、二駅先にある。
私は毎日、満員電車に揺られながら
高校へ通っていた。
駅からは歩いて五分程度で着く場所だった。
「茉莉花〜!おはよう!」
「あっ、雀おはよう!」
有岡雀
私の親友だ。
雀は小学校からの同級生で、私の良き理解者だ。
そして、雀もBLACK CATの大ファンだ。
雀は妹と一緒で、リーダーの新汰推しだ。
「ねぇ、昨日の歌番組観た?
マジ、新曲ヤバかったね!」
「うんうん。勿論観たよ!
本当に、最高だった!」
「今度の、ファンイベ行きたいね…。
チケット当たるかな…。」
「どうだろうね…。
茉莉花と私のどっちかでも、当たってたら
良いけどね…。」
「抽選結果っていつだっけ?」
「今週末だよ!土曜日!」
私は土曜日と聞いて、ハッとした。
「あっ、私その日バイトだ…。」
「えっ?そうなの?
じゃあ、結果一緒に見れないね…。」
「ごめん…。」
「じゃあ、バイト終わったら連絡して!
私も、結果分かったら連絡する!」
「OK!じゃあ、私日直だから先行くね!」
雀とは同じクラスになれなかった。
雀は明るくて、人気者だった。
私はそんな雀に憧れていた。
私は、小学生の頃は引っ込み思案な子で、
なかなか友達が出来なかった。
そんな私に声をかけてくれたのが、雀だった。
雀は、珍しい名前で、よく男の子達に揶揄われていた。
でも、雀は人一倍明るくて強い子だった。
そんな、男の子達ともすぐ仲良くなれる
パワーがあった。
私は、そんな雀の事が大好きになった。
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