第一話 推しと猫

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栞里さんはモデルの仕事をしているらしい。 彼等に少しでも近づきたくて、オーディションを受けたら合格して、今は彼らが所属している 事務所に入ったばかりだそうだ。 「彼等とはまだ会ってないんだ…。  大人気だから、忙しくて、事務所にも  来ないし、部門が違うから会えない  んだよね…。」 「栞里さんは凄いですね!  行動力があるって言うか…。 同じ事務所か…。いいなぁ…。 お仕事…頑張って下さいね。」 私は、羨ましいと思うだけで、何の努力も していなかった。 少しでも彼に近づきたいと、強い気持ちが あれば、人は何でも出来るんだなと思った。 (私も…廉太郎に近づきたいな…。 でも、栞里さんみたいに綺麗じゃないし、 可愛くもないし…。 何の取り柄もないなんて…悲しい…。) 「じゃあ、私仕事あるから行くね。  コーヒー凄く美味しかったよ!  また、来るね。」 「ありがとうございました。  また、お待ちしてます。」 栞里さんが店を出ると同時に、雀達が店に入って来た。 雀は不思議そうな顔で、私に聞いて来た。 「えっ!何?今の人誰?  めっちゃ綺麗な人だったね。」 「うん。  だよね…。」 私はため息を吐いた。 そして、雀の肩に顔を埋めた。 「えっ?茉莉花どうした?  何か合ったの?」 私はさっきの出来事を、全て雀に話した。 「なるほどね…。  強敵が現れたな…。 事務所一緒なら絶対出会うよね…。 その人は本気だね。」 「だよね…。  私も…廉太郎に近づきたいなぁ…。」 ファンとして影ながら応援してきた。 でも、栞里さんの存在を知って私は 廉太郎に会いたい気持ちが強くなった。 ファンとしてじゃなく、繋がりがほしいと 欲張りになっていた。    
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