化けたトモダチ

「私も赤ちゃんに会いたいな」

　あぁ、やっぱり旧友との会話はいいな。話が盛り上がり、アルコールも気持ちよく進む。当時の思い出が楽しい酒の席にしてくれる。

「そういえば、いいサプリ教えてあげるって言ったじゃん」
「あ、知りたい」

　ゆきりんがカバンからカタログを取り出した。そして何ページかめくり、私に見せた。

「このサプリ、私の職場で扱ってるんだけど、ほんとお薦めなの」

　なんとかという酵素が……内臓脂肪がどうとか……難しい言葉をいっぱい並べられて、お酒も入ってるし、あんまり頭が回らない。

「効果を知って広めてほしいから、今だけ初回無料でお得なのよ」
「へー、無料は魅力的」
「で、更にまりりんの紹介で他の人が商品を買ったら、バックマージンもらえるよ」
「へー、そうなの？　私、疎いからあんまりそういうのよく分からないんだけど」

　うんうんと頷きながら、また別のチラシをカバンから取り出した。

「詳しいことは、このセミナーで教えてくれるよ。行って損はないから、まりりん行ってみたら？」

　セミナー代　十五万円、という文字が異様なほど脳裏に焼きついた。

「え、十五万！？　無理無理、高いから払えないよ」

　手を振って焦る私を見て、坂井くんまで口を出し始めた。