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被せ気味に言われた。お母さんの表情は半分あきれている感じだった。
「マルチ商法の典型的なパターンよ、それ。大体、損する前提で話して、相手が乗ってくるわけがないじゃない」
ぐうの音も出ない。時間が経つにつれて冷静さを取り戻し、私はゆきりんのいいカモだったんだと思い知らされた。
『ほら、やっぱり
胡散臭い気がしてたんだよね』
あかりんにも言われた。
『直感は外れるけど
違和感は当たるって言うでしょ』
みのりんにも言われた。
「信じてたのにな
なんかガッカリだよ」
『吉見さんもサプリ
売りつけられそうになったって言ってたよ
そういう人だったんだよ』
あぁ、ママになって頑張ってる彼女にまで……。その容赦ない感じに身震いする。
『クラスの子はほとんど声かけられてるっぽい
噂だけど』
その後、ゆきりんから何度かLINEがきたけど、「もう連絡するのはやめてね」と縁を切った。
人って変わるんだな。今後、人付き合いに二の足を踏んでしまいそうだけど、そんな人もいるんだなぐらいの気持ちで、やり過ごせたら……と思う。
私は忘れてしまいたい記憶とともに、カタログと古雑誌を一緒に紐できつく縛った。
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