26人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
連絡がきたのは、ついこの間だ。テーブルの上でスマホが振動して、懐かしい名前が表示された。
――幸村千紗。ゆきりんだ。
突然の着信に何事かと思えば、それぞれが連絡のつく元クラスメイトに、同窓会のことを伝えているとかなんとか。連絡ついた人だけでも集まれたらいいね、ぐらいの緩めの会らしい。
「じゃあね。また同窓会で」
「うん、連絡ありがと」
電話を切った後、思いもよらない人からの着信に気持ちがどこか浮ついている。中学卒業した後は高校も別だったし、自然と疎遠になっていたから、耳なじみのあるその声が私は嬉しかった。
ゆきりんの話だと、仲良かった四人グループのみんな来るって言うし、私もみんなに会いたくてこの日を楽しみにしていた。
地元の駅のコンソースで再会を果たした顔ぶれは、私の記憶を一気に中学生へと引き戻した。
「え、まりりん! 変わらないねー!」
懐かしいメンバーに、懐かしいニックネーム。私は秦野真凛で「まりりん」。そして目の前にいるのが、赤松伶菜「あかりん」、一色実莉「みのりん」だ。
アニメや恋バナに、キャーキャーとはしゃいでいたあの頃の思い出が、アルバムをめくるかのように次々と溢れた。
最初のコメントを投稿しよう!