戦地

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戦地

しかしその誓いは守られなかった。目的の島に上陸するや否や、私の部隊は米軍からの集中砲撃を受け、基地にたどり着く前に散り散りになってしまった。 反撃など考えられもしない、圧倒的な戦力差だった。耳を割くような爆発音の中、私は金色の悲鳴を聞いた。アミだ。 「少尉殿」 私は切れ切れになっているアミの声、糸の気配を必死に探した。少尉殿の体は、泥沼の中に上半身を突っ込んでいた。脇腹が砲撃を受けてえぐれていた。 致命傷であった。しかし、少尉は生きていた。少尉殿の傷口が金色の糸でおおわれている。それでもあふれ出る血液は止められない 「お前か。アミが呼んだんだな。不老長寿と言っても、最新鋭の武器の前にはこのざまだ。俺はもう死ぬ。痛みをアミが止めてくれているから口がきけているだけだ。だから、アミを連れて帰ってくれ」 〈イヤダ〉 アミの声が聞こえた。 「わがままを言うな。連れて帰ってもらえ」 私は少尉殿の軍服を脱がした。肩から顔を出しているアミは、すでに干からびかけていた。 「こっちへおいで」 声をかけると、アミは手を伸ばした。つかむと、手首がポロリと落ちた。 「それでいい。頼んだぞ」 少尉殿はそれっきり口をきかなくなった。私はアミのかけらを手拭いに包み、その場を去った。
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