ヨシタケさん

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ヨシタケさん

村の周りにはたくさんの明かりうごめいていた。帰ってこない私を探す、カンテラや提灯の光だった。 私は一番近く似合った明かりに近づいた。それは、隣家のおじさんが持っていたものだった。 「おじさん!!」 私が声をかけると、おじさんはぎょっとした顔で振り向いた。 「いたぞ!」 私はあっという間に数人の大人に取り囲まれた。その中には父もいたのだが、険しい顔で私の顔を見るばかりだった。 「先生。見てやってください」 村にただ一人の漢方医の先生が呼ばれた。先生は無表情で聞いた。 「向こうで、何かもらったか?」 「お菓子と、お茶」 私は震えながら答えた。大人たちがざわついた。 「お菓子は食べたか」 「ううん。お茶だけ」 安堵の空気が流れた。 「一応調べておこう」 私は手荒く裸にされて、漢方医の先生が体の隅々まで調べた。
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