[透明人間に出会いました]

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先生は走ってくる私に気がついて大きく手を振ってくれている。 「すみません、遅くなりました」 先生の近くまで行き遅れたことを伝え、私が呼吸を落ち着かせようと肩で息をしていると先生が心配して声をかけてくれた。 「大丈夫か、松沢?」 「はい、大丈夫です」 「じゃあ、前の左端に並んで」 先生に言われて並ぶ。そして大きく間隔をあけて準備運動が行われた。 私の隣で先輩は同じように準備運動をしている。 準備運動が終わると皆は校庭から去るように校門を出て、そこから各自で走っていく。 (なんで、外を走るの?) すると隣にいた先輩が教えてくれた。 『この学校はさ、体育の授業は外を走るんだよ』 「走るって……どこを?」 『それは倉見に聞かないとわからない』 「そうなんだ」 一度戻って先生に走るコースを聞こうと運動場へ戻ろうとしたら倉見先生が私たちに気がついて近くまできてくれた。 「松沢は走るのが初めてだったな」 「はい」 先生はクリップボードから走るコースが書いてある紙を私に差し出した。
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