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私も先輩と同じように寝転んで空を眺めた。
青空に雲が流れて時間もゆっくりと過ぎていく。何も話さずただ、風の音、木々が揺れる音を聞きながら横を向くと先輩は目を閉じて寝ていた。
(普通に寝てる……)
「私も少しだけ……」
風の気持ちよさを身体で感じているまま目を瞑る。
『……い、おい、起きろ光桜! 』
「……んっ、なに、先輩」
寝ぼけながら光桜は先輩の名を呼んだ。
『夕方だ! 起きろ、光桜!』
夕方って……お昼過ぎと間違いなんじゃ……と思い身体を起こし、目を開けて空を見ると青かった空は黄昏時だった。
(少しだけ目を瞑っただけなのに寝過ごしてしまった! )
「どうして、もう少し早く起こしてくれなかったの先輩」
『それは、悪い。光桜が気持ちよさそうに寝てたからだ』
先輩から話を聞くとこの時間帯まで寝て起きなかった私が悪い。
「でも、起こしてくれてありがとう。先輩」
先輩は照れたように手で頭をかきながら『まぁな』と呟いた。
私は別れ際に先輩に聞く。
「明日、本当に学校に行かなきゃダメ?」
『俺も明日学校に行くから。それでお昼の時間になったら屋上の塔屋に来い』
光桜は先輩の言葉に疑問を抱いた。
「でも、先輩、透明人間なのに学校へ行けるの?」
『行ける。だが、光桜以外、誰も俺に気づかないだろう』
確かに先輩の言う通りだ。透明人間の先輩が視えるのは私だけ。
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