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「明日、学校で会おうね。先輩」
『ああ、学校で会おうな。光桜』
先輩と桜の木の下で別れて私は家へと帰っていく。家に着くとお母さんが仕事から既に帰ってきていた。
「ただいま」
「おかえり、どこか行っていたの?」
「……散歩」
私は明日学校へ行くことをお母さんに話してみた。
「ねぇ、お母さん。明日、学校へ行こうと思ってる」
「お弁当がいるわね!」
突然学校へ行こうとしたことを詳しく聞いてこないことが有難い。
リビングのテーブルの上にメモ用紙が置いてあるのに気付いた私にお母さんが話を始めた。
「そのメモ用紙ね、光桜が帰って来る前に担任の先生から電話があって、明日の授業の持ち物らしいわ」
「……そう」
紙切れを持って私は明日行く学校の準備をしに部屋へと戻る。
部屋に戻ってカバンを手に持つ。四月から始まった学校へ行くのは明日が初めてだ。
明日の支度をして私が部屋を出ると下から美味しそうな匂いが漂ってくる。
階段を降りてリビングへ顔を出すとお母さんと目が合った。
「今からご飯よ」
「うん」
テーブルの上には親子どんに豆腐と海藻サラダと大根の味噌汁。
「さぁ、いただきます!」
お母さんの声に私はそっと手を合わせて「いただきます」と小さな声で食べ始める。
ゆっくりと食べてお腹いっぱいになった私は手を合わせた。
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