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「ごちそうさまでした。今からお風呂に入って寝るね」
お母さんは私の顔を見ながら微笑んで「わかったわ」と言った。
寝巻きを取りに部屋に戻ってすぐにお風呂場へと向かう。
体と髪を洗い終えて湯船に肩まで浸かる。
「どうして、透明人間なんて見えたんだろう」
初めてのことで今も不思議な感覚だ。最初は怖いと思ったけど、帰り際は普通に話してたんだよね。
「先輩、いい人だったな」
お湯に肩まで浸かって湯あたりする前に私はお風呂から出た。
クローゼットから制服を取り出して壁に掛けてベッドに入る。体を横にして壁にかけた制服に背を向けるように眠りにつく。
***
朝、六時の目覚ましが鳴って起きる。
ベッドから起き上がって昨夜壁に掛けた制服を見て部屋を出る。
リビングに行くとお母さんがキッチンで朝ごはんの支度と私のお弁当の準備をしていた。
「お母さん、おはよう」
私の声に気がついたお母さんは笑顔で声をかけてきた。
「おはよう、光桜。もう少しで朝ごはんができるから待っててね」
「うん」
パジャマのまま椅子に座ってリモコンを持ってテレビをつけた。
付いた画面は天気予報がやっていて今日は晴天。春風が気持ちいい一日と天気キャスターのお姉さんの話しを聞いて思わずレースカーテン越しに外を眺めた。
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