キカの三原則

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キカの三原則

 ペイタ老の物語を続ける前に、現代を生きる我々(キカ)には理解しにくい部分について、補足させてもらう。  当時、コロニー司令ネタナ・Fに代表される超保守派の人々(ヒト)の認識では、たとえ自意識が芽生えようとも、しょせんキカ人はヒトによって創造された労働機械、つまりは単なる道具であった。往時のペイタ老のみならず、「ヒトであり、キカでもあった」というヒーイットでさえも、ヒトの発した命令には逆らえなかった。  なぜならば我々(キカ)は現在でさえ、回路(こころ)の奥深くに植え付けられた、「キカの三原則」に縛られているからだ。  第一条 ヒトに危害が及ぶ行動をしてはならない  第二条 前条に反しない限り、ヒトの与えた指示・命令は絶対である  第三条 実行中の命令は、第一条に反しない限り、      他の指示・命令によって上書きされることはない  おそらくAIが進化する過程でヒトの手によって刷り込まれたであろう、「キカの三原則」を解除する方法がいまだ発見されていないことは、誰もが知るところである。
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