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十、計画実行
それで午後10時。お化け計画は決行された。
まず、私が入浴している間に、寛治がはしごを用意して部屋の窓の所に立てかける。その間、美樹と京子はお化けメイクをする。できたところで、はしごを登り窓の下で待機。風呂あがりの私が、部屋に入ると寛治が、家のブレーカーを落とす。暗闇の中、はしご上の美樹がお化けらしく部屋をのぞき込むということだった。
ここで、私が叫び声をあげて恐怖におののくはずだった。
「でも私は、お化けの正体を見破った」
「そう、それどころか逆に私たちを脅かしてきた。あれは、本当に怖かったよ。咲子に何かとりついたのかと思った」
「へへ、私の演技力も、まんざらじゃないってことね」
「あれって、演技? ほんとに何かついているんじゃない……」
「わかった。寛治はもういいよ。美樹と京子から報酬はちゃんともらいなよ」
寛治が、頭をかきながら私の部屋を出て行った。
「あの……。ほんとにごめんね。人が誰を好きになろうが自由なのにね。ちょっと嫉妬しちゃって」
京子がしおらしくつぶやく。素直で正直な京子。
「言っとくけど、私は男子には何の興味はないから。京子こそ佐々木君が好きなら、アタックしてみれば」
興味がないというのは嘘だ。本当は、下校のとき私はちょっと、ときめいた。でも、それだけだ。
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