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八、実験
「実験? 何の実験?」
理科系の私は、実験と聞くとどのような事であろうが、ときめきを感じる。
「あのさ、咲子はいつも幽霊とかお化けなんて単なる錯覚とか言って、全然こわがらないじゃん……」
オカルトブームだった当時、人類滅亡の大予言やら悪魔祓いやら、霊能者の霊視などが流行っていた。
美樹の言葉に弟の寛治が同意する。
「そうだよ。姉ちゃんテレビのオカルト番組なんか、いつもやらせの嘘っぱちだなんて言って笑ってるし」
「ええ。実際そう思ってるし。何がいけないの」
別に、とがめられているわけではないが、ちょっとむきになる私だった。
「だから、その、咲子が実際にお化けを見たらどんな反応をするかと思って」
「怖がって悲鳴をあげるところが見たかったのね。で、寛治はなんで一緒になって協力なんてするのよ」
私は、鋭く寛治を指さす。
「寛治君に協力をおねがいしたのもわたし。この計画はね……」
美樹は、計画の一部始終を語り始めた。
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