九、お化け計画一部始終

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九、お化け計画一部始終

「咲子は、いつもお化けなんて嘘っぱちって言ってるじゃない。だから、咲子がお化けを見たらどうなるだろうって、京子と話してた。でね、お化け計画を考えたの。 それがさっきのやつ。お化けになった私が、咲子の部屋の窓からのぞき込むというもの。でもこの計画には協力者が必要だった。それは、問題が二つあったから。一つは、咲子が夜部屋に入ったら電灯が消えること。もう一つは、二階の外から部屋の中をのぞき込むには、はしごが必要なこと。この二つは家の内部からの協力が必要だったの。咲子のお母さんに協力者は頼めないから、弟の寛治君を仲間に引き入れたの。私と京子が咲子の家に遊びに来たとき、秘密裏に交渉を進めたの。寛治君はすぐに承諾してくれたよ。協力の報酬は、週刊の漫画雑誌一か月分ということで。この報酬は寛治君にとって魅力的だったね。準備は整ったところで。あとは、いつ実行するかだったの。作戦開始のきっかけになったのは、今日の帰りの男子グループ下校したことなの」 今日のこと? 私は、すぐに反応して美樹に聞いた。 「何で、男子と下校したことが、きっかけになるの?」 美樹は続けた。 「正直に言うね。男女ペアで下校したでしょ。そのペアに問題があったの。私と八村君、京子と津田君、咲子と佐々木君だったでしょ。実は、京子は佐々木君に心を寄せていたの。でも、佐々木君は咲子とペアになっちゃったでしょ。男子には興味がないように言っていた咲子が、佐々木君と談笑していたのが、京子にとっては少しショックだったって。咲子のはにかみようが、佐々木君に好意をよせているように京子には感じたみたい。それを聞いて、私は、咲子を脅かして無様(ぶざま)な所を見ればちょっとは京子の留飲も下がるのではないかなと考えたの。今から思うと馬鹿みたいだけど……」 「ほんと、馬鹿みたい。私が佐々木君を好きになるわけないじゃない」 そう、受験でそんな暇ないし……。 「それでね、今日かねてからのお化け計画を実行に移すことにしたの。私はすぐにここに電話をして寛治君にスタンバイをお願いした。寛治君もすぐにOKしてくれた」
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