行き先

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「え、めっちゃカッコいいじゃないですか」  僕の言葉に、元紳士は口の端を軽くゆがめて笑った。 「そういうあなたこそ、金色の毛並みが実にお見事だ」  言われて悪い気はしない。  父親譲りの体毛は、僕が自慢できるアピールポイントの一つでもある。 「さあ人狼の皆様、本来の姿にお戻りになられましたでしょうか。第五回人狼お見合いパーティーはこれより一時間のフリータイムとなります。どなた様とでも自由にお話しいただいて結構です。ご歓談ください……」  スピーカーからまた声が聞こえた。  会場のあちこちで喜びの遠吠えが聞こえている。  親しげに話し始めている姿も会場のあちこちで見られた。 「さて、我々も行きましょう。せっかくここに来て、男二人で話していたんじゃ始まりませんからな」  紳士の言葉に僕は一つ大きくうなずいた。  恋人はともかく、伴侶となるとやはり同族に限る。  今日、良い相手と巡り合えると良いのだけれど。
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