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チャプター6
その後、作業服に身を包んだ男たちが現れ、ブルーシートに死んだ連中を包んで運び出していった。活志曰く、「林業の連中だ」ということだった。
「半グレって分かるか」
「ヤクザじゃない、割と若い犯罪者の集団かな」
「まあそんなところだ」
公彦の返答に活志が軽くうなずく。死体の処理を終えたばかりだがそのようすに変化はなかった。そんな彼らの有様に彼らの闇の中の半生がうかがえる。
「俺の恩人に当たる人がそれで、その関係で今はその仕事を一部引き継いでやってるんだよ。んで、その伝手で山に死体を埋めてもらうのさ。海と違って浮き上がってくることはねえし、奥の方に深く埋めりゃまず見つかる可能性はない」
裏の世界の話を活志は平然と話す。風俗嬢や生き残った知り合いの男たちは顔面を蒼白にしており、まず口を割る心配ないように見受けられた。
他方、公彦は同じ年頃でこんな世界を生きている人間がいるのかと圧倒される思いを抱いた。そしてふと脳裏にひらめくものがあり、活志に向かって口角を吊り上げてこんなせりふを吐いていた。
「このクソみたいな国を思い切り痛めつけてみないか」と。
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