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「先日入荷したミーアキャットの赤ちゃん、四十三万円で販売中です!」
ホームセンターに店内放送が響いた。
ショーケースには、いろいろな姿形の犬が所狭しと並んでいる。耳がだらんと垂れ下がったもの、もさもさの毛で被われたもの、胴長短足のもの、顔がぺしゃんこに潰れたもの――。虎のように大きなものもいれば、兎のように小さなものもいる。毛の色や性格も様々で、品種や年齢、性別によって値段が違っていた。
骨の形をした犬用のおもちゃがころんと転がっている。その傍で、年をとったトイプードルが伏せていた。くりくりとした黒い目の見つめる先には、一組の親子が立っている。
「わたし、フクロモモンガ飼いたい!」
目をきらきらさせて、女の子がねだった。母親が困ったように言う。
「あんなちっちゃいの、すぐ死んじゃうよ。トイプードルとかどう? 可愛いと思うけど」
女の子はつまらなそうに首を横に振った。
「犬なんかいらない。めずらしくないもん」
倉庫には、檻に入れられた小動物がうずたかく積まれている。事務机の前で、店長が部下に指図した。
「四番の雄のトイプードル、来週保健所に連れていってくれるかな。年寄で、もう売れないだろうから。もちろん私服で行ってね」
店長はキャスター椅子に腰掛けると、にこにこしながら電話をかけた。
「いつもお世話になっております。ペットショップ・しあわせ♡わんわんの加藤です。コツメカワウソを仕入れたいのですが、在庫はありますでしょうか。……野生では絶滅しかけているくらい、需要がありますからね。弊店でも人気の商品です。規制が厳しくなる前に、一匹でも多く売り出したいと考えております」
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