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黄金の魔弾
ここはミサキ町。ホワイトビーチの周辺に群がるようにして賭場と酒を出す店が並ぶ沿岸部の歓楽街。ビーチの反対側、内陸のほうに目を向けると棒グラフのようにお行儀よく並んだ高いビルが見える。お行儀のよくないロマンスの予感のする開放的な海に一度ハマったら抜け出せない博打に酒。聞いてわかるとおりまるで酒池肉林という言葉を誤用の意味を含めて形にしたような下品な街だ。こうした街にいるやつというのは普通どいつもこいつもタガが外れてたりするやつだったり街と同様下品なやつばかりと相場が決まるもんだがここは違う。こんな場所、こういう御時世だってのになぜだかどうして粋なやつがたまにいたりするもんだ。だから俺は今日もこの街で居酒屋なんぞ営んでいる。もちろん俺もそういう粋な人間のうちの一人だ、などという驕ったようなことは言えないが。
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