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 恭平は履歴から美雨にかける。二回目のコールが鳴るか鳴らないかのうちに繋がった。 「もしもし恭平さん? 大丈夫と?」 「大丈夫っちゃ、大丈夫……かな。てか、まだかかりそうなんよ。やけん、先家帰っとってくれん?」 「えー……」 「もし帰れたらそん時はまた電話する。夜中でも会いに行ってよかやろうか?」 「もちろんよかよ。電話して起こして」 「ありがとう。じゃ、また」 「ん。待っとくけん」 「うん。すまんね」  名残惜しかったが、隣の男のおかげでそれどころではない。通話を済ませ、美雨の可愛げの余韻に浸っていたかったが、平静を装った。 「クソ腹立つな。なにが夜中でも会いに行ってよかやろか、やねん。んで女も、ウン。わかったァゆうて待っとんのやろ? 腹立つわァ」 「言うなて」 「言わずにおれるかいや」 「そういや、龍吾さん出身どこ? 鹿児島?」 「むっちゃ話逸らすやん。せや。鹿児島やったけど、十二ン時にじいさんに面倒見きれんってこっちのヤクザんとこ持ってかれて、二十歳から七年大阪の刑務所ムショにおってん。そっから、神戸、和歌山、広島におって、今また博多や。言葉遣いがおかしいって言いたいんやろ?」
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