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「変っていうかごっちゃごちゃやなって」
「しゃあないやん。移ってしもうたもん」
「それで、なんでヤクザんとこに?」
「ムカつく同級生ぶち殺したった」
「うわあ」
「少年院出たあとすぐやったわ。連れてかれたヤクザの親分の息子の代わりにまた少年院入ったりして、とうとう刑務所まで入ったわ。まあ、それでの、そこの親分ンとこのガキの面倒ワシが全部押し付けられてん。いつかぶち殺したろ思ってんのやけどな。まあ、そん中で末っ子のジョーだけはな、可愛いと思っとんねん」
「はあ……」
さっきの電話をかけてきた奴か、と思い出す。
「で、コイツがまたしょーもない男好きでの。その気もないヤツに惚れては泣かされとんねん」
葉隠にも登場する衆道に近い忠義心や仁義云々があるのかもしれないが、唐突に話題に混ぜこまれると返答に困る。恭平は言葉につまりながら相槌を打った。
「とりあえずジョーを泣かした奴はシバいとるけぇ、お前も気ぃつけよ、色男」
「いや俺関係ないやん」
「惚れられとるからって調子こいとったらいつどこでどうなるかわからんやん?」
「いや、そんな物騒な人とは関わっとらん。つーか、一応住所教えとってよ」
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