反省だらけの半生

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反省だらけの半生

「最初の一年はまぁ順風満帆だったんですよ。ご主人にもかわいがってもらって当初の目的である『普通の犬生活』をエンジョイしてたんです。でもそのご主人が脳溢血でポックリ逝っちゃって……」 「問題はそのご主人が逝去した後ってことかい?」 「そうなんですよ。親戚筋の日本橋にある呉服屋に預けられたんですけどね」 「あ〜、なんか聞いたぞ! お前さん、来る客来る客に飛びついて『商売にならねぇ』ってんで追い出されたんだっけ?」 「いや、ちょっと言い訳させてくださいよ!! そもそもね商売人ってのはケチでいけない。ご飯が少ないんですよ、最初にもらってた半量しか食べさせてもらえないんです。こちとら当時育ち盛りの秋田犬ですよ?」 「その割には元気に跳ね回って客に飛びついてたらしいじゃねぇか?」 「誤解です! 呉服屋の並びに焼き鳥屋の屋台があったんですよ。通りを歩いてくる客たちはみんな焼き鳥の煙を浴びてくるんです。空腹な犬の前で肉の匂いをプンプンさせながら歩いてたら、飛びかかられても文句言えないと思いません!?」 「まぁ犬ってのは鼻も効くし狩猟本能の強い生き物だからなぁ」 「それで怒られてご飯抜かれるってもう、虐待じゃありません?」 「それでお前さん、別の家に引き取られたんだっけ?」
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