反省だらけの半生

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「そうなんですよ、次は浅草の知人宅にもらわれたんですけどその家、僕のことを鎖に繋ぎっぱなしにして散歩もさせてくれなかったんです。 そうなると犬としては吠えるしかないわけで」 「まあなぁ。人語が喋れるわけじゃないからなぁ」 「そしたら隣のジジイが『うるさい』ってクレームつけてきて」 「なんだよ、隣人トラブルかよ」 「そうなんです。全部僕のせいにされて、最初の飼い主のところに返されることになったんですよ」 「なら良かったじゃねぇか。最初の家では『普通の犬生活』できてたんだろ?」 「それがね、渋谷の家は基本放し飼いだったもんですから解放感でつい走り回っちゃって」 「よっぽど鬱屈してたんだな」 「知らないうちに畑の作物を踏み荒らしてたみたいで、結局渋谷の家もまた追い出されて、最後は植木職人の家にもらわれることになったんです」 「そこはオメェ、自業自得ってんじゃないのかい?」
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