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衝撃の事実
「だけどよ。ここまで聞いてる限りじゃそこそこ普通の犬生活送ってきたんじゃないのかい?」
「そんなことないですって! 野犬と間違われて捕まったり、通行人から石投げられたり、子供に追いかけ回されたり散々ひどい目に合わされたんですよ!!」
「でもアレだろ? お前さん新聞に載ってブレイクしたんだろ?」
「それですよ! 今まで散々邪険にしといて新聞に記事が載った途端、まさしく『手のひら返し』ですよ! コロッケとか食べさせてくるんですけど、シレッと玉ねぎが入ってるんですよ? なんの罠だって感じですよね?」
「すっかりやさぐれちまって……今世は相当ストレス溜め込んだみたいだな!?」
「でもまぁ有名になったおかげで、あの子の飼い主が、僕に近寄ってきてくれたんですけどね」
「おっ! てぇことは、あの一目惚れした犬とお近づきになれたのかい?」
「飼い主さんに抱かれたあの子はピンクのリボンで前の毛を結わえてアップにしてたんですよ。クリッとしたつぶらな瞳があらわになって、こっちをじっと見てたんです。可愛かったなぁ……」
「何だよ、いい雰囲気じゃねぇか!」
「その子に言われたんです。『おぅ、若造! オメェ死んだご主人を待ってんだって? 見上げた忠犬魂じゃねぇか!』って」
「おっさんだったか。犬は見た目じゃわからねぇからなぁ……」
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