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ダイニングで
先輩たちお手製のチャーハンと鶏から、
スープをいただき、お腹いっぱいになった
俺と水野は、再び戻った川瀬先輩の部屋で
衝撃的なことを聞いた。
「嘘ですよね」
全身を震わす水野、そして俺は言葉を失った。
先輩たちにとっては食事の提供なんて
これから始まることに比べたら
大した負担ではなかったのだ。
やっぱりただより高いものはないと
潔く断っていれば良かった‥‥。
「部の存続にはキミたち1年の力が必要で、
今回は水野さんも参加してくれてるから
更に話すけど、話題づくりが必要だと思う」
そう話し始めた岸野先輩は、
いつもの穏やかな声でとんでもないことを
口にした。
「水野さんはBL好きなんだよね」
「あ、大好きです」
「じゃあ理解はできるよね。キミと仲良しの
油谷くんを僕と由貴でシェアすることは」
「‥‥はい?!」
「大丈夫、ホントにエッチなことはしない」
「あ、はい‥‥あぶちゃんで大丈夫ですか」
「油谷くんじゃなきゃダメだと思う」
「岸野先輩以外の男子部員ですしね‥‥」
「浅見は相変わらずあんな感じだし、
正直言って2年の彼女たちには部員獲得の
スキルは期待できない。ただいるだけだし。
キミたちが卒業するまでは存続させたい、
わかってくれる?」
「わかりますけど‥‥だからって、何故
俺をシェアすることに繋がるんですか」
その言葉を聞いて、岸野先輩は小さく笑い
「え?だって油谷くん、童貞でしょ」
と答えた。
水野が吹き出し、川瀬先輩が苦笑いする。
「先輩、理由になってません」
ホントのことだから恥ずかしかった。
「希望があれば、エッチも教えるけど」
「い、いらないです」
岸野先輩、こんな人だったのか‥‥
彼女と彼氏がいる時点で真面目ではない
とは思ってたけど。
「油谷くんは絶対に化けると思うんだよね。
書道の才能はもちろん、オトコとしての
才能もある人だと思う。ぶっちゃけ、
モテて困りたくない?」
「‥‥困りたいです!」
思わず大きく頷いてしまった。
「じゃあ決まりだね、理央」
憧れの先輩に名前を呼ばれ、目が眩んだ。
こうして15年間硬派を貫いてきた俺は、
この日から水野たち腐女子が大好きな
BLの世界に身を置くことになった。
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