告白

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自室のベッドの中。 水野から借りた漫画を読んで悶絶した。 (これ、入ってますよね) キレイな絵に騙されて読み始めたら、 あっと言う間にベッドシーンが展開され。 それからはずっとキス、キス、キス。 何じゃこの漫画はっと放り投げかけて、 親に見られたらマジで洒落にならんと ベッドから起き上がり、カバンにしまった。 時刻は22時半、水野はまだ起きてるか? ベッドに腰掛け、スマホを操作した。 メッセージアプリを開き、水野あてに 文章を作った。 『おい、くだらない漫画を貸すなよ』 タイミングが合い、すぐに既読になる。 『BLは確立された世界です。冒涜しないで』 『漫画の3分の2がエロじゃん』 『悔しかったら岸野先輩たちに奪われろ。 どうせ童貞なんだから』 『はあ?お前だって処女だろうが』 『はは』 水野の返信に目を見開いた。 え、まさか。水野ってもう済んでるの? 途端、激しい嫉妬の感情が湧き上がる。 震える指先で文字を打った。 『ごめん。正直に言って。水野は経験済?』 既読になってから返信が来るまでの間、 死ぬほど長く感じた。 『うちの中学はね』 『早い子は早かった』 だからお前はどっちなんだよ! と、半ばキレながら文字を打った。 『水野。俺の気持ちに気付いてるよな』 既読にはなったが、返信は一旦途切れた。 15分後。 『うん。あぶちゃんの気持ち気付いてた』 大きく息を吐いた。 『水野のこと、好きなんだ』 メッセージ上ではあったが、 初めて素直に自分の気持ちを伝えた。 『水野の気持ちは?聞きたい。 あとお前が処女じゃなくても傷つかない。 それも正直に言ってくれ』 既読になり、返信はすぐに来た。 『あぶちゃんが大好き。それは間違いない』 文字を見た瞬間、息が止まった。 『ホントか』 嬉しくて泣きそうになったが、 次に送られて来た文章を見て、 また息ができなくなった。 『初めてをあげたかったって後悔してる』 しばらく返信の文章を考え、送信した。 『水野。話してくれてありがとう。 俺は気にしない。だから後悔するな。 それよりも俺のシェアの件は大丈夫なのか』 『あぶちゃんがより素敵になれるなら。 部員が少なくて与えられる部費が減って 大変なのは浅見先輩から聞いてるし。 どこまで岸野先輩たちが本気なのかは わからないけど、部の存続のためなら 胸を借りるしかないよ』 『俺、絶対にお前以外とはエロいことは しない。岸野先輩たちには正直に話す。 好きな子がいるからって』 『あぶちゃん‥‥』 『形はBLしたとしても、一線は越えない。 だから心配しないでくれ』 側から見ればかなり変な決意表明だが、 俺は本気だった。 大好きな女の子の顔が曇るようなことは したくない。 そう思っていたのに。 岸野先輩の前では全く歯が立たなかった。
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