私の彼氏は大型犬

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 ネットとかには夫や彼氏に疲れきり、恨み節のような呪いのような言葉を吐いてる人がたくさんいる。昔の私は、こんなに好きなのに意味わかんない! じゃあなんで付き合ったわけ?     なんて思ってた。うん、今でも別に嫌いではないし、好きです。恨んでもない。でも、ちょっと疲れてる。それに、何か鬱陶しい。すごく鬱陶しい!  犬が嫌いなわけじゃない。むしろ可愛くて好き。それでも、彼氏が犬というのは、私にとっては良くないみたいだ。  渋々と言った感じで「わかった」と口にしてサンドイッチを前足で口に運ぶ。背中から全身に「傷つきました」という文字が浮かんでるように、感じてしまうところも、ため息になりそうだった。  まるで、私が悪いみたいだ。  聞くって言ったんだからもっとちゃんと向き合ってよ!  言いかけて喉の奥にごくんと飲み干す。聞くだけ聞いて、私の話なんて理解しないことがわかってるから飲み干すことを毎回選んできた。  飲み込んだトゲは、胃の奥でちくんと時々忘れ去った頃に暴れる。これが原因なのだろうか。  続けてと言ったのに、私の様子を窺いながらも、黙り込む姿を見て、またちくんっと棘が一つ。私が悪いみたいな空気を醸し出すところも、すごくイヤ。  スマホをすーっと器用に動かしながら、サンドイッチをばくばくと食べ進めている。ちなみにそれ、あなたがしつこくお願いするから私が作ってきたんですけど。おいしいとか、ありがとう、とか、感想は無しですか?  ちくんが、またひとつ。  それでも、別れる気もないし、好きな気持ちには変わりない。喜んで欲しくて作ったはずのサンドイッチだって、私は、端っこの余ったところを詰め合わせたもの。カツキにはキレイにできたやつだけ渡した。  私の意地でもあるけど。
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