3-6. ルーシーの意味深

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 ルーシーはトアの反応をにやにやと眺めていた。黒髪の自分を見た人は皆同じように驚いた。トアも例に漏れず同じ反応だ。 ――雲雀は一気に白髪が増えたそうです。彼の兄弟たちも最初目が点になっていましたね。MJにいたっては泣きわめいて、ルーシーと口がきけるようになるまで二週間かかったとか。  彼がこの姿になってしばらくは屋敷中喪に服したように暗く重たい雰囲気が漂ったそうですよ。  ただし彼のこの姿を見た人物で、唯一ラレイルだけは「いいじゃんその色。イメチェン?」とかって反応だったとか。 「ルーシー……その髪の毛、どうしたの?」  後継者任務から帰ってきた時は確かに赤かった。この半年で何があったというのだろうか。 「ん~ちょっと、研究してたら……こうなっちゃったというか」  何をどう研究すれば髪の毛が真っ黒になるというのか、トアは色々聞きたかったが、おそらく今は理解できないと思ったため、そうなの、と返事をするだけに留めた。 「ほら、地上でオレたち、星力(せいりょく)のこととかも調べたじゃん? あん時ひらめいたことがあるんだよね~。それを帰ってから早速試したらこうなっちゃったってわけよ。  や~、ダディには散々怒られるわ、MJにはわんわん泣かれるわ、大変だったよ~」  全く悪びれる様子がないしゃべり方に今度は呆れて口が塞がらなかった。 「それで……ええと、別に体の調子が悪いとか、何か病気になったとか……そういうわけじゃないのね?」 「だいじょぶダイジョブ! 髪が黒いだけで、あとはチョー元気! 力有り余ってるよ! なんなら試してみる……?」  いやらしそうに指を動かしてくるルーシーの手をトアは有無を言わずひっぱたいた。 「いてっ! ちぇ~、いつもみたいに優しくしてよ~」 「その様子だと本当に大丈夫みたいね。頭の中のゆるさも健在のようだし」
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