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白海の国の自衛隊隊長である父親の下で修業し、リアンは物心ついた時から国に仕えてきた。一日も訓練を欠かしたことはない。幼い頃から任務をこなし、白海の王に仕えることが自分の全てだと幼い頃から知っていた。
しかしその考えは、父親に刷り込まれたからに他ならない。
リアンの父、エンゾは、息子が幼い頃からその役割について何度も説いてきた。
「リアン。お前はこの国で自分が何をするべきか分かっているな」
「はい。力をつけ、国王に仕えることです」
「ああ。俺もお前も、運よく身体的な能力が高く、一般人としては星力も強い。それをこの国にも認めてもらえ、こうして栄誉ある仕事に就くことができる。この力を、国のために正しく使わなければならない」
「はい」
「……今、リザエラ様がご懐妊されている。もうすぐ次の王となる方が生まれる」
「はい」
「お前はその方に一生を捧げるんだ。分かったな」
「はい、父上」
「頑張れ、お前ならできる」
『次の国王に一生を捧げる』
それが彼が知る自分の生きる意味だった。
――しかしその動機付けが、10歳の少年にどれくらい響いていたかは甚だ疑問でしたね。
結局リアンにとって、国に仕える、王に仕えるというのは任務の延長のようなもの。父親に命じられるから、という程度だったことでしょう。無理もありません。世の中の10歳の内どれだけの子どもが『自分の存在意義』を自分自身で理解していると言えるのでしょうか。
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