変化がもたらす現実

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 調べてみると色んなことが分かった。それは食べる順番。まずは野菜、その次に肉や魚などのタンパク質、炭水化物は一番最後だ。  よく噛んで時間を使って食べることも大事なのだとネットの記事に出ていた。満腹中枢が刺激されるまでに十五分から二十分掛かるらしく、しかもよく噛むことで吸収率も変わるのだそうだ。目からうろこの真実だった。私は元々とても早食いで、家でも友達とご飯に行っても、食べ終わるのが一番早いのは私だった。これは毎食気を付けなければならない。つい何も考えずにいつも通り早く食べてしまったときはよく分からない罪悪感に襲われた。  そして、極めつけは根菜だそうだ。体を温める効果があって代謝を上げてくれるんだとか。逆に葉物は体温を下げるからお勧めではないようだった。そんな知識を私はどんどん吸収していった。だから、今まではあまり作らなかった根菜の煮物が献立によく並ぶようになった。夫も娘も、それを嫌がったりはしなかったから胸を撫でおろしていた。  何度も何度も挫折しそうになったけれど、こういうのは覚悟が大事なのだ。夫が協力的なのも大いに助かった。  途中でジムに通い始めたのも本当に良かった。といっても少しの時間を週に二、三回程度で通っていただけなのだが、運動をするようになると体重よりも体形が変わることに気付いた。全然痩せなかった太ももが落ち始めたのだった。  最初は半信半疑で始めたダイエットも、地道に落ちていく体重に自信を付けていった。姿見に下着姿の自分を映して、醜い体形を目に焼き付けた。それが一番効果があったかもしれない。心が折れないための効果が。  昔の服も、いつかは着られると何の努力もしていなかったくせに捨てていなかったから、またあの服たちが着られるようになることを目標にして頑張った。私は自分の根気に驚いていた。元々我慢強くコツコツと何かをできるタイプではない私も、頑張ればできるものなんだなと少しずつ痩せていく身体を見ながら感動していた。
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