変化がもたらす現実

1/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 結婚して十二年になる。娘がもう八歳になるのだが、最近私は悩んでいる。それは、階段の上り下りやちょっとした坂を自転車で走るだけで息切れが止まらないこと。腰の痛みが年々強くなっていること。  それもこれも、子供ができて産休に入ったことを機に私は三年仕事をしていなかった。それからというもの、体重は増える一方でついに気付けば産休前から十五キロ近く増えてしまったのだった。たしかに、服はもう昔の物は何一つとして入らない。正直、体重計には怖くてもうとうぶん乗っていなかった。  それでも子供もできたし、女としてというより母としての過ごし方に慣れてしまってあまり気にしていなかったのだが、健康問題はこのまま放っておくことはできない気がした。これからはどんどん身体のあちこちに不調が出てもおかしくない年齢になってきている。元々腰痛は多少あったけれど、毎週接骨院に通うのも正直出費が厳しいとも思っていた。だから、恐る恐る久しぶりに体重計に乗ってみたのだった。 「私、太ったよね」  と夫に言うと、 「俺からはそんなこと言えなかったよ」  と苦笑交じりに言われてしまった。この人がデリカシーのない人で良かったと思う反面、だからこそ甘えてしまっていた自分が悲しかった。  今更、夫に女として見てほしいとは正直思っていない気がする。それだけ私たちは家族になってしまった。レスになってもう長い。最後にしたのはもういつのことだったか。一年くらい前だろうか。それを寂しいと思わなくなったことがなんだか悲しかった。  そうして私はダイエットをすることを決意したのだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!