リアーナの入学

1/6
前へ
/111ページ
次へ

リアーナの入学

学園に入学して一年が経った。 あの日から、ロイド様とはあまり話せていない。 そして、今日はリアーナが入学してくる日である。 入学式には在校生も参列する。 しかし入学式が始まっても、新入生が多くてリアーナの姿を見つけることが出来ない。 「新入生代表挨拶、リアーナ・フィオール」 その言葉に私はパッと顔を上げ、壇上を確認する。 そこには、久しぶりに顔を見ることが出来たリアーナが立っていた。 「見て、新入生代表挨拶は聖女様よ」 「慈悲深く、人格者であるそうじゃないか」 「最近は領地を回って、街の人と交流も盛んに行っていらっしゃるとか」 リアーナの噂を口々に生徒たちが話しだす。 しかし、リアーナを「無能の聖女」と呼ぶものは一人もいなかった。 リアーナは私が入学する前にこう述べた。 「一年後、私も学園へ入学しますわ。それまでに、私は地盤を固めるの」と。 それはきっと私への怒りから来るものだっただろう。 それでも、リアーナは自分で「無能の聖女」と呼ばれることを弾き飛ばした。 どれほど、この一年努力したのだろう。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加