【遠藤隼人】

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季節は雪が降り続ける冬。二十六歳の遠藤隼人は付き合って二年、同棲して初めての冬を同い年の彼女である本条唯と共に都内にあるアパートで過ごしていた。 「ねぇねぇ、隼人。これ見て。一緒に行こうよ?」 ソファーに腰掛けていた唯が紙を片手に手招きしている。俺は唯に寄り添い座った。 唯が持っていた紙は岩手県にある高原スキー場へ招待するチラシだった。よく見ると無料ではないが、朝夕と食事付きで二泊三日。料金は一人当たり破格の八千円と安いものだった。しかも、格安夜行バスは自分達の住んでいる近くまで来てくれると記載されている。 「私、絶対にこれに行く。隼人も付き合って。ねぇ、一緒に行こう?」 唯の誘いを断る理由は無い。俺は唯と一緒にその高原スキー場へ行く事を決めた。
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