【真宮幸樹】

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近づいてそう聞いてくる梨佳に俺は刀を持った鬼の存在を話した。それから少し経った頃、木村や水谷が帰ってきた。木村や水谷の話によれば、鬼は鬼でも、鬼の面を付けた人間だったという。その鬼の面を付けた人間は元木を殺したとも言っている。逃げて来て正解だった……俺はそう思いながら、玄関に視線を向けていた。すると、またも開かれる扉。俺は一瞬、鬼の面を付けた殺人鬼がやって来たんじゃないかと思った。しかし、それは違い、遠藤という男の姿だった。 遠藤は入って来てすぐさま水谷の胸ぐらを掴んでいる。話を聞けば、殺人鬼から逃げる時に水谷は遠藤を蹴って犠牲にしようとしたらしい。水谷の考えも分からなくもない……俺も同じ立場だったら水谷と同様の事をしていたかもしれない……そう考えて見守っていると、遠藤の恋人本条や木村が止めに入った。その後、バスの殺人と元木を殺した殺人は犯人が違うと言い出した。はっ?……同一人人物の可能性もあるんじゃないのか?……でも、あの殺人鬼が走行するバスを停めて運転手を殺したとも考えにくい……そうなれば、バスの殺人は俺達の中で、元木を殺したのは俺達以外の人物……あー分からねー……俺は髪の毛をかきむしった。すると今度は、木村が『犯人の目星はついている』と言い出した。俺達はその言葉に驚愕して問い詰めたが、木村は誰だという事は話をしなかった。
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