【真宮幸樹】

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次は自分や梨佳かもしれない……そんな恐怖が押し寄せてくる。すぐに水谷が保管していた缶詰は皆に分け与えられた。食料の心配はとりあえず無くなった。それよりも殺人鬼。俺はナイフを握り締め、梨佳と共に部屋の中で過ごす。眠れない夜が何度か過ぎる中、流石に睡眠不足で俺は眠ってしまった。ハッとして起きた俺は、梨佳に視線を向ける。横で眠りながらちゃんと動いている。安心はしたが、缶詰はもう一缶。救助等が来る事も無く、外は大雪のまま。でも、食べなくては死んでしまう……大切な缶詰を俺と梨佳は半分ずつ食べた。もう残りは無い。 飢えの恐怖と殺人鬼の恐怖……もう、どうする事も出来ない。どちらにせよ、このままじゃ死ぬ……なら、いっそもう一度外に出るしかないのか?……いや、吹雪の中、生き残れない……どうすればいいんだ……そんな中、一人だけ缶詰ではなく栄養補助食品を食べている人間を発見した。それは木村。何故だ?……何故あんなに持っている?……俺は梨佳と共に、木村に対して分けて欲しいとお願いした。だが、木村は水谷が持っていたと思われる銃を取り出して銃口を向けてきた。俺が持っているのはナイフ……じじいでも銃は銃……勝ち目は無い……くそっ……俺達は諦めるしかなかった。
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