【遠藤隼人】

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予定日まで二週間程ある。俺と唯はすぐさまチラシに書かれている番号に電話をして参加を決定した。二人は共働き、会社に有休の申請を出したり、休日が同じ日に笑顔でスキー用品を揃えたりした。 初めてのスキー。少し不安はあるが、唯と共に遠出の旅行をするのも初体験。俺の心は期待感で躍っていた。 旅行当日。夕刻に予定通りバスが近隣にある道路に到着した。俺と唯はそのバスに乗り込む。既に一番後ろの後部座席には眼鏡をした四十代くらいの男性が一人乗っていた。 道中、停まるバス。その度に乗車してくる人達。それはカップル。女性のペア。男性のペア。その全てが二十代前半のように見えた。静かだった車内は、小声の話声が響き渡る。 目指す岩手県まで、まだまだ遠い。窓から外を見ると至る所に明かりが見えていたが、過ぎゆく時間と共に外の明かりは少なくなっていく。
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