危険回避

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　すれ違う人たちが私を異様な目で見る。

　子供を連れて犬の散歩をしているだけなのに、なぜそんな哀れむような軽蔑するような目を向けられるのか理解できない。

　自宅マンションに戻ると毎回どっと疲労感に襲われる。息子は二歳になったばかりで日に日に動きも活発になってきた。

　最近ではベビーカーにも乗らず抱っこ紐も嫌がって愚図って泣き出す。二足歩行で歩けるようになってからというものの、出かけるときは自分の足で歩くのが楽しくてしかたがないのだと思う。

　無理やり抱っこ紐を使おうもんなら暴れ出す始末なのだ。男の子は力が強いだけに暴れられたらたまらない。

　公園ならまだしもこの辺りは交通量も多いし歩行者の道幅も狭いし、ちょっと目を離す行為が命取りにもなり兼ねないのだ。

　だから……

　私は子供を危険から守るため外へ連れて行く時は犬と同じようにリードを付けることにした。迷い紐として売られているし、外国ならよく見かける光景だ。

　なのに、みんなが私を好奇な目で見るのはなぜ？　母親が子供を危険から守るのは当たり前のことなのに。犬だってリードを付けてないと危険でしょう。

　私にとって犬も息子も大切な家族。危険回避のためにしていることをなぜ虐待と言われてしまうのか意味がわからない。