Ⅰ 花現病

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Ⅰ 花現病

 すき、きらい、すき……。  細い声が響いて、白い指が美しい花びらを数える。  ねえ、何してるの?  花占い。花びらで相手の気持ちを占うんだ。  花で気持ちがわかるの?  ……うん、わかるよ。  ふぅん。どっちだった? すき? それとも、きらい?  花びらを数えていた者の口元が、うっすらと微笑む。  何も答えが無いのに焦って花に手を伸ばすと、そっと白い手で止められた。  だめだよ、これは特別な花。想いが形になったものだから。  大事な大事な、心の作った花だから。
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