狂った祝祭

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□ この村は、よそ者が入り込んできてから、おかしくなった。 都会で犯罪をおかした奴らが隠遁しに来ては、村人を襲い、民家を占拠し、村人に成りすまし、麻薬の取り引きなどの犯罪をする。犯罪者どもの巣窟に慣れ果てた。また、そんな犯罪者どもの瘴気に祟られ、村の小さな子供の命も奪った。わずかな刺激でも体を曲げるほど苦しむ奇病は治らなかった。 後に「破傷風」という細菌の感染症だと判明し、ワクチンも開発されたが、この村には都会の医療は全く届かなかった。よそ者は、犯罪や麻薬だけでなく病気さえ持ってきたのだ。このような事を二度と起こさないように、村の犯罪者どもを皆殺しにする「やぶきりおに」という存在を作り怒り狂ったように次々と罰を下した。それが俺の先祖 青木ヶ原たけしである。しかし、犯罪者どもが持っていた金属や宝石などを独占したため、残った村人に処された。 その子孫である、青木ヶ原むらせが村のリーダーになってからは、村は静けさを取り戻したが、よその村の情報が都会の人間に拡散され、興味本意で土足で入っては行方不明になる事件が起きる。同時にさまざまなメディアに取り上げられるようになると、この村にも白羽の矢は立った。むらせはメディア化しようと企む輩を次々と罰していったのだ。 だが、俺の母親は、村の行事にずっぽしになってしまい家庭を振り返らないむらせに愛想をつかして離婚した。自分の仕事にずっぽしすぎて家庭とのバランスを崩したむらせは、リーダーの役目から引き摺り降ろされた。そうして村のリーダーの役目を引き継いだのが俺になるが、親父のむらせの跡は継ぎたくなかったが、誰かがやらなければならない仕事だった。 やればやるほど、俺は、村人たちをどうやって殺そうかという事しか考えなくなっていた。ずっぽしになった親父の二の舞いだ。いつかやめないといけないとわかっているが、それでもやってしまう。 いっぽうで俺は正しい事をしたという自負はあるが、いつか自分の家族に手を出してしまわないか心配だった。でも、もう終わりにしようと思う。村のリーダーの役目も終える。今更無実を証明しても誰も信じない。村人に殺されるくらいなら自ら命をたとう。 ■
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