狂った祝祭

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 「この村にはそんな過去があったの?」  それなのに警察は何をしていたのか? 国は何もしなかったのか? 疑問だらけだが、今頃話題にあがるような村だ。警察が来るとは思えない。  「たくと、これでは村で起きた事を明るみにしたようなものじゃないか」むらせさんは、遺書を乱暴に握り締める「遺書の事は伏せておこう」  「賛成出来ません」あずまさんがため息を吐くように呟いた。 私も同意見だ。それでは、たくとさんの意志を踏み潰すようなものだし、たくとさんの自殺や死もなかった事にしてしまう。たくとさんはむらせさんの家族なら、尊重してあげて欲しい。今までずっと伏せてきた真実を、腹を割って話してくれているのに。  「そうやって事実を伏せて、また村の人を騙すんですか?」  「それでも、たくとをこれ以上、悪役にしたくないんです」  「明るみになった時、村の人たちのショックは大きいですよ。これ以上大きくなったら、取り返しのつかない事になる」  「たくとはもう充分汚れてくれたんです。もういいでしょう」  「むらせさん、息子さんとあなたのした事は権力の暴走ですよ。この事が知れたらそれこそ大々的にニュースやメディアで晒し者にされる可能性が高い。しかし、今、公開しておけばこの村はそこまでダメージを受けずに済むんです」  「しかし」  「村の人たちにとって、これまでの戒律を見直す、いい機会になると思います。たくとさんの意志を無駄にしない為にも」  「わかりました。村の物にもリーダーを辞任した事と、このメッセージを伝えるとしましょう」
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