狂った祝祭

17/29
前へ
/29ページ
次へ
 この村には重機がないので、村人たちは手作業で分けあり物件を解体しなくてはならない為に、時間がとてもかかるし、相手が相手だ。作業に携わった村人の様子がおかしくなっていく。 突然バタッと倒れたり、屋根から転落したり、工具で事故を起こしたり、明らかに祟られているような気がするが、あずまさんだけは何故か平然としている。  「あずまさん、やっぱり解体ってのは止めた方がいいのでは……」  「作業中に倒れる村人が出たからですか?」  「これ以上は危険だと思います。やっぱり何かあるんですよ」  「恐らくは過労かもしれませんよ。連日で作業してるんですから。しっかり休めば治るでしょうね」  「あずまさんは呪いとか祟りは信じない人ですか?」  「そんなもの信じてないですよ、もし怖かったら盛り塩でもしておきましょう。解体と建築作業が終われば皆さんの暮らしも変わります。頑張って参りましょう!」  呪いだ祟りだというものを一蹴し、あずまさんは働ける村人たちを動かして、分けあり物件の解体と新築の建設を数週間かけてやり遂げた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加